ホット・ラッツ』(Hot Rats)は、フランク・ザッパが1969年に発表したアルバム。マザーズ・オブ・インヴェンションとの連名ではなく、『ランピー・グレイヴィ』(1968年)に続く、ザッパにとって2作目のソロ・アルバムとしてリリースされた。

解説

16トラックのマルチトラックレコーダーを用いてレコーディングされた。キャプテン・ビーフハートがボーカルで参加している「ウィリー・ザ・ピンプ」以外は全曲インストゥルメンタルで、即興演奏を重視した内容。本国アメリカよりもイギリスで高く評価され、全英9位の大ヒットとなったのに加え、イギリスの音楽専門誌『メロディ・メイカー』の人気投票でアルバム・オブ・ザ・イヤーに選出された。

1987年にCD化された際、リミックスが施され、オリジナルLPでは短く編集されていた「ガンボ・ヴァリエーションズ」は、17分近いロング・ヴァージョンとなった。

2019年12月20日、50周年記念6CDボックスセット『The Hot Rats Sessions』が発売された。

アートワーク

レコードの見開きジャケットのデザインはカル・シェンケルが行った。写真は表、裏ともにアンディ・ナサンソン(Andee Nathanson)が撮影した。赤外線写真を効果的に使っている。表のジャケットに写っている女性はクリスティーン・フルカ(通り名はミス・クリスティーン)。クリスティーンは1960年代末にロサンゼルスで結成された女性グループ「GTO's」のメンバーで、いわゆるグルーピーであった。フライング・ブリトー・ブラザーズのファースト・アルバム『黄金の城 (The Gilded Palace of Sin)』(1969年)に収録された「Christine's Tune」は、彼女に着想を得て書かれた作品と言われている。その後、1972年11月5日にヘロインの過剰摂取で死亡した。

ミス・クリスティーンが身を沈めている穴は、ハリウッド・ヒルズにあるエロール・フリンの別荘のスイミング・プールである。

収録曲

全曲フランク・ザッパ作曲・編曲。楽曲のランニング・タイムはCDヴァージョンに基づく。

サイド 1
  1. ピーチズ・エン・レガリア - "Peaches en Regalia" - 3:37
  2. ウィリー・ザ・ピンプ - "Willie the Pimp" - 9:16
  3. サン・オブ・ミスター・グリーン・ジーンズ - "Son of Mr. Green Genes" - 8:58
サイド 2
  1. リトル・アンブレラズ - "Little Umbrellas" - 3:04
  2. ガンボ・ヴァリエーションズ - "The Gumbo Variations" - 16:55(オリジナルLPでは12:53)
  3. イット・マスト・ビー・ア・キャメル - "It Must Be a Camel" - 5:15

参加ミュージシャン

  • フランク・ザッパ - ギター、パーカッション
  • イアン・アンダーウッド - ピアノ、クラリネット、サックス
  • キャプテン・ビーフハート - ボーカル (on 2)
  • ドン・"シュガーケイン"・ハリス - ヴァイオリン (on 2、5)
  • ジャン=リュック・ポンティ - ヴァイオリン (on 6)
  • ロン・セリコ - ドラムス (on 1)
  • ジョン・ゲリン - ドラムス (on 2、4、6)
  • ポール・ハンフリー - ドラムス (on 3、5)
  • シュギー・オーティス - ベース (on 1)
  • マックス・ベネット - ベース (on 2-6)
  • ローウェル・ジョージ - ギター

脚注


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